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仙台大学通信教育指導室メールマガジン 第85号

2024.11.07 THU

通信教育指導室から、こんにちは。
久しぶりに、『算数授業のユニバーサルデザイン』という本を基に、子どもが夢中になる算数授業づくりについて3回シリーズで考えていきます。
今回は、5番目の「情報不足にする」というしかけを紹介します。


算数授業のしかけ ⑤ 情報不足にする

「情報過多にする」のとは逆に、あえて必要な情報を入れないで問題を提示することで、計算のために何が必要なのか、この計算がどんなことを意味しているのかを理解し、確認させることができます。
これが「情報不足にする」というしかけです。

〔事例〕3年生 「あまりを考える問題」

『新しい算数3上』(東京書籍2020)p.081

ケーキが23こあります。1箱に4このケーキを入れていきます。
全部のケーキを入れるには、箱は何箱あればいいでしょうか。

この問題を提示して、解かせてみると、
「23÷4=5あまり3 箱は5箱必要です」
と答える子どもたちが結構います。
「4こずつ入れることができる箱を使って、全部のケーキを入れる」というイメージができていないので、正確に答えることができないのです。

そこで、「情報不足にする」のしかけを使って、はじめに次のような問題を提示します。

ケーキが10こあります。ケーキを入れる箱は何箱いりますか?

さっきと違い、「ひとつの箱に何個ケーキを入れられるか」という情報を、最初に提示しないようにします。23個では、図にすると数が多いので、10個にします。また、ひと箱に入るケーキの個数を変えることもできますが、今回はケーキの個数だけを変えて提示します。
ちなみに9個にすると、4個入りの箱の場合、「9÷4=2あまり1」となり、あまりを繰り上げた正しい答えと、あまりと答えを足した数字が、同じ3になってしまいます。そのため、「答えにあまりを足せばいいんだ」と、勘違いしてしまう子どもが出てしまいます。それを避けるために10個という数にします。

C:一つの箱には、ケーキが何個ずつ入るの?
T:みんなだったら何個ずつ入れますか?
C:1個!
C:2個!
C:10個全部つめて入れる!
C:それでは、ぎゅーぎゅーでしょ(笑)
T:一つの箱には、4個ずつ入ります。

子どもたちは、あまりのあるわり算を学習しているので「10÷4=2あまり2」と計算していきます。

T:答えは2箱でいいよね?
C:2箱だと、全部入らない!
T:どういうことかな?
C:だって、4個ずつ入れるでしょ。そしたら2箱だと2個外に出たままです。

このことを、黒板でブロックを使って確認します。動作化してもいいのですが、10人が動くと少し時間がかかります。
続いて、「全部がはいれるようにする場合」についてみんなで考えさせていきます。
「2+1=3 3箱いります」という答えの意味をペアや全員で確認していきます。
そして、数字を変えて、教科書の問題を提示していきます。

ケーキが23こあります。1箱に4このケーキを入れていきます。
全部のケーキを入れるには、箱は何箱あればいいでしょうか。

「情報不足」の問題を提示して、徐々に子どもたちの問題場面をイメージさせながら、「あまりを切り上げない場合」と「あまりを切り上げる」場合を比較させながら、「どのような時にあまりを切り上げるか」を理解させていきます。最終的には、教科書の問題を提示して、一人ひとりに解かせていきます。

「情報不足にする」しかけのポイント

いくつかある情報の中から必要な情報を減らして提示して、子どもたちの求めに応じて1つずつ情報を付け加えていく

「図だけ」「式だけ」「言葉だけ」など、情報不足にする方法はいくつもあります。
「情報不足にする」ことで、子どもたちが「それじゃあ計算できない!」「答えがいくつもできる!」「だったら、この説明も必要かもしれない!」と言いたくなるようにします。
「情報不足」に少しずつ情報を加えていくことで、子どもたちのイメージをそろえながら、考えさせたい内容に焦点化していくことができます。


『算数授業のユニバーサルデザイン』伊藤幹哲著(東洋館出版社2018)p.136 一部編集

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