仙台大学通信教育指導室メールマガジン 第73号
2024.08.08 THU
通信教育指導室から、こんにちは。
前号では、亘理町における仙台大ボランティアの取組を中心に紹介しました。今回は「地域健康づくり支援センター」の報告書を基に、支援の全体像を概観しましょう。
「運動支援・健康づくり支援」が果たした役割
「健康づくり運動サポーター」の活躍
震災直後、仙台大学は被災地にある大学として最善を尽くすべく、災害ボランティアセンターを立ち上げました。沿岸地域での瓦礫撤去や泥かきなどの活動を行う一方、大学の特色を生かし避難所での健康維持とエコノミークラス症候群予防のための運動支援に取り組みました。仙台大学が独自に養成していた「健康づくり運動サポーター」が活動の中心を担いました。
震災直後の避難所における運動支援
難所の環境はどこも劣悪で、避難してきた方々も心に大きな傷を負っていました。はじめは、「エコノミークラス症候群の予防のための運動」など、とてもできる雰囲気ではありませんでした。そのため、学生たちは、避難している方々の肩もみなどをしながら、互いの距離を縮め、コミュニケーションづくりと人間関係づくりに取り組んでいきました。
最初は避難者とどのように関わればよいのか戸惑っていた学生たちも、継続して避難所に通ううちに、少しずつ顔を覚えてもらえるようになり、徐々に心を通わせることができるようになっていきました。

美里町などの仮設住宅での活動を含め、訪問回数は延べ153回、訪問人数は延べ879人に上った。
仮設住宅における運動支援の重要性
7月までに仮設住宅の整備が進み、約4か月過ごした避難所が閉鎖されることになりました。そのため、仮設住宅にある集会所や談話室に会場を移して、活動は継続されました。
1回の活動時間は約1時間半。メニューは、アイスブレーキング → 準備体操 → 主運動 → 整理運動 → マッサージ → 歌の順で行い、その後茶話会を行いました。
運動支援は「健康づくり運動サポーター」の学生が中心になって行い、誰でも楽しみながら参加できるように、レクリエーションの要素も取り入れました。
活動前に保健師が参加者の血圧を測るなど、一人一人の健康状態の確認に努めました。行政と一緒に活動することで、仮設入居者の健康状態の把握にも役立ち、足が遠のきがちな高齢者宅への個別訪問につなげるなど、きめ細かな対応を後押しすることができました。
茶話会 漬物やカップケーキに話が弾む
茶話会には、学生に肩をもんでもらえることが楽しみで参加する方も多く、時には皆で童謡などを歌うこともあり、仮設入居者にとっては心和む貴重なひとときとなっていたようです。
茶話会では運動栄養学科のスタッフや学生が手作りした季節の野菜の漬物やカップケーキ、ゼリーなどのお茶菓子をレシピとともに提供しました。持参した漬物やお茶菓子はどれも参加者に好評で、「家でも作ってみたい」と喜ばれ、話題の中心となることもありました。仮設住宅の住民と学生が一緒に茶話会を行うことで、住民と学生相互の、さらには住民同士のコミュニケーションを深めることができました。
活動を始めた頃には杖を使って会場に来ていた方が、回を重ねるにつれ、ほとんど杖に頼らずに移動できるようになり、嬉しい笑顔が広がりました。
継続して取り組むことの重要性をあらためて確認することができました。
活動の継続と学生の力こそ信頼の源泉
「活動の継続性」と「学生の若い力」-これら二つが、仙台大の取組が参加者に受け入れられていった要因ではないかと思います。
震災直後こそ多くのボランティアが被災地に駆けつけましたが、時間の経過とともに、その数は減少の一途をたどりました。被災地においては、支援活動の継続的かつ計画的な実施こそが、被災者に安心感をもたらし、信頼の絆を強固にします。
また、若い学生の参加も、被災住民の活動参加の動機付けとして大きな力を発揮しました。学生と関わることで「元気がもらえる」といった声も多く寄せられ、茶話会で学生が親身になって自分の話を聞いてくれるといったことも、参加者の心理に好影響を及ぼしていたようです。
東日本大震災直後から、先輩たちはそれぞれの持ち味を生かしながら、被災地のニーズに柔軟に対応して誠心誠意取り組み、地元の力となることができました。
相手意識をしっかりもち、徹頭徹尾寄り添うこと!-これが何よりも大切なことですね。