仙台大学通信教育指導室メールマガジン 第70号
2024.07.18 THU
通信教育指導室から、こんにちは。
久しぶりに、細水保宏先生の登場です。
第3回「超一流に学ぶプレミアム講座」(2010秋開催)の1コマから、子どもから論理を引き出す極意について学んでいきましょう。
えっ? 本当に? 絶対? は 論理的思考を引き出す魔法の言葉
かくれた数の和はいくつ?
ここにカレンダーがあります。今から2つの数をかくします。
「かくれた数をたしたらいくつになりますか」というのが今日の問題です。
では、かくしますよ。

さて、かくれた2つの数の和はいくつでしょうか。
児童A:21です。
児童B:21です。
児童C:21です。
細 水:えっ? 本当に?
児童D:21です。
細 水:絶対?
児童D:絶対です。
細 水:何で?
児童D:だって、①の数は10,②の数は11。10+11は21なので、絶対に21になります。
細 水:う~ん。みんなはどう思う?
と、まあ、こんな風に、答えだけでなく、その解き方や考え方までしっかり説明できるようなクラスにしていきたいですね。
こういうクラスにするにはどうしたらいいでしょうか。
・まず1列に並んでいる子どもたちに答えだけ聞くのです。
・「いくつ?」「いくつ?」と。21、21、21……と、21の念仏が始まります。
・最後まで言い終わったら「えっ?」と聞き返します。これが魔法の言葉です。 |
「えっ?」「本当に?」「絶対?」という問いかけに対して、「絶対に21です」と答えた子どもは、「だって~だから」と論理的に説明しようとします。
「だって?」という言葉が子どもから出てくるようにすること ー これが算数の授業づくりの一番大切なポイントです。
算数は論理を築く教科です。「答えだけでなく、答えを導くにいたった途中の考え方が大切なのだ」という価値観を、3つの問いかけをすることで子どもに伝えていくのです。
細 水:こういうゲームは楽しくないといけません。次にいきます。
前に出てきて、先生のかわりにかくしてみたい人はいませんか?
児童E:はい。(タテに数をかくす)
細 水:かくれた2つの数の和はいくつでしょうか。
少し考える時間をあげましょう。

細 水:考えがまとまりましたか。では、この列に聞きましょう。
児童F:はい、27だと思います。
児童G:27です。
児童H:27です。
細 水:えっ?本当?絶対?
児童H:はい、絶対です。
細 水:どうして?
児童H:だって、③は10、④は17なので、10+17で27だからです。
友だちの話をしっかり聞こう
細 水:今のHさんの説明で、分かった?
児童I:わかりました。
細 水:Hさんは何て言ったんだっけ?
児童I:10+17で27、って言いました。
細 水:いいね。友だちの話をちゃんと聞いていたね。
Jさんはどうですか?
児童J:かくれた数は10と17なので、10+17で27、って言いました。
このようなやりとりで「友だちの考えをしっかり聞くことは大事だよ」という価値観を伝えていきます。さらに何人かの児童の考えを引き出し、子どもたちの理解を深めていきます。
自分で考えたい問いが生まれる
細 水:ところで、さっきEさんに好きなところをかくしてもらいました。
実はね、先生はどんな問題がだされても1秒もかからずに答えが出せるんだ。
全児童:えーっ、うそでしょう!
細 水:本当です。さっきの問題も、先生にかかると秒殺です。
全児童:ほんとかな???
ここで、子どもたちの中に、「先生はどうして速く答えられるんだろう」という新しい問いが生まれます。
それじゃあ、Eさんが出してくれた問題で、そのわけを考えてみよう。3分あげるので、浮かんだ考えをノートにメモしてください。
何かわかりましたか?それでは、近くの人と話し合ってください。
そうすると、Hさんの考えに基づく解き方の他に、たして27になる組み合わせが何種類もあることが分かってきます。

そして、「それらの組み合わせがどうして27になるのか」という新たな問いが生まれ、教室は一層白熱していきます。