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仙台大学通信教育指導室メールマガジン 第69号

2024.07.11 THU

通信教育指導室から、こんにちは。
今回は、4年生の教科書『新しい国語4下』(東京書籍)から「ごんぎつね」の読み取りについて考えます。筑波大附属小を経て現在明星大学で教員を目指す学生の指導に当たっている白石範孝先生が提唱する「逆思考の読み」の試みを紹介します。


4年「ごんぎつね」… 逆思考の読み

物語文指導のキーは、中心人物の変化です。物語では、必ず中心人物の気持ちや行動、生き方が変化します。したがって、「はじめ→きっかけ→終わり」を考えながら、中心人物の変化をとらえることを教えていきます。

つまり、物語文の読解では、中心人物の変化を、

のように、一文で表すことができるようになることが大切なのです。

①には、主語の「ごん」が入ります。
②のきっかけ(事件・出来事)には、「兵十に撃たれることによって」が入ります。
大事なのは、③の「○○になる話」のところです。これが難しいのです。

子どもからは二つの考えが出てきます。
一つは「撃たれることによって死んでしまい、悲しくなる」という考え、もう一つは「嬉しくなる」という考えです。

そこで、「『ごん、おまえだったのか。いつも、くりをくれたのは。』 ごんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなずきました」という記述を手がかりに、小グループで話し合いを深めていくと、「分かってもらって嬉しくなる話」という考えに収斂していきます。

普通、文学作品は一の場面から順番に読んでいきます。
でもここでは、子どもたちの読みを深めさせるために、逆から読んでいきます。これを「逆思考の読み」と呼びます。



最初に、一番大事な「結末」をとらえます。そして、後ろから問いを作っていきます。
子どもたちに「なぜ嬉しくなったの?」と尋ねます。子どもたちは「兵十が自分のことを気づいてくれたから」と答えます。この発言を受けて、「兵十は何に気づいたの?」と問い返します。すると「くりや松たけを置いてくれたのはごんだったんだということに気づいた」という答えが返ってきます。このように、「ごんぎつね」の授業で大事なのはこの原因を探っていく読みにあります。
償いをわかってもらったから本当に嬉しくなったのでしょうか?このことをさらに追求していくことが読み深めたり、読み味わったりする読みにつながります。償いをわかってもらったから嬉しくなったというのは、本文に書いてある事実をおさえただけです。

では、「ごんぎつね」の一番の山場へ目を向けさせるにはどうしたらいいでしょう。
そこで、「ごんが償いをしようと思ったきっかけは何?」と子どもたちに問いかけます。
すると見事に、物語の一番大事な部分に気づきます。三の場面の出だしの部分です。
「兵十が、赤いいどのところで麦をといでいました。兵十は、今までおっかあと二人きりで、まずしいくらしをしていたもので、おっかあが死んでしまっては、もうひとりぼっちでした。『おれと同じ、ひとりぼっちの兵十か。』こちらの物置の後ろから見ていたごんは、そう思いました。」
とあります。
ここがきっかけです。
一の場面では、どんなごんだったでしょう?しだがいっぱいしげった、薄暗くてじめじめした森にあなをほって暮らす「ひとりぼっち」の「小ぎつね」でした。「ひとりぼっち」のごんは、みんなにかまってほしくていろいろないたずらをします。
そして、「兵十もおれと同じ『ひとりぼっち』になってしまったんだ。あんないたずらをしなけりゃよかった」と思ったのです。そこから償いが始まったのです。
前から順番に読んでいくと、なぜ償いが始まったのか、そのきっかけが読めないのです。しかし、こんな風に逆から原因を追究していけば見えてきます。



このように読むことが「読み深める」「作品を深く読み味わう」ということになるのではないでしょうか。そのためには、前から順番に細かく読んでいく授業ではなく、後ろから結末から入っていく授業にします。物語というのは、ちゃんと「伏線」が敷かれています。この「伏線」をおさえなければいけません。


参考:『白石範孝の国語授業のつくり方』白石範孝著(東洋館出版社2010)p.050~p.063

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