仙台大学通信教育指導室メールマガジン 第68号
2023.01.17 TUE通信教育指導室から、こんにちは。 今回は、3年生の教科書『新しい国語3下』(東京書籍)の「モチモチの木」から、中心人物が大きく変化した「きっかけ」の読み取りについて考えていきます。
3年 「モチモチの木」…… 因果関係を図解する
本教材は、場面の様子や登場人物の心情が民話調の温かい語り口で綴られたやさしさにあふれた作品です。
モチモチの木の見え方が変化することで、中心人物(豆太)の気持ちの変化をとらえることができます。
ここでは、豆太の会話文や地の文を図解しながら、なぜ豆太は灯がともったモチモチの木を見ることができたのか、そのわけをつかんでいきます。

黒板に、(ア)(イ)(ウ)のセンテンスカードを提示して、次のように問いかけます。
T:豆太は結局臆病なままだったから、モチモチの木に灯がともるのを見ることができなかったんだよね?
C:えー、違うよ。
C:豆太はモチモチの木に灯がともるのを見ることができたんだよ。
T:でも、じさまが「一人の子どもしか見ることはできねえ。それも勇気のある子どもだけだ」と言っていたよね。
臆病な豆太はほんとに見ることができたのかなぁ?
C:ほんとだよ!だって……
T:みんなの考えも同じ?(子どもたち、うなずく)
もしそうだとして、豆太が灯がともったモチモチの木を見ることができたというのは、どの言葉から分かるんだろう?
ペアになって、その言葉がどれか話し合ってみよう。
子どもたちから、豆太の「モチモチの木に灯がついている」という言葉が出てきたら、(ウ)のカードの左に矢印を描き、(エ)のセンテンスカードを貼ります。
T:では、豆太はどうしてモチモチの木の灯を見ることができたんだろう?
C:「勇気を出したら見ることができる」って、じさまが言っていたよ。
C:豆太は、大好きなじさまを助けるために、ねまきのまんま、はだしで飛び出したよ。
T:霜月二十日と言えば、今の12月20日あたりで、真冬だよ。それなのにはだしのまま、上着も着ないで?
C:そう。しかも、足から血を出しながら、半道もあるふもとの村に医者様を呼びになきなき走ったんだよ。
C:いたくて、寒くて、こわかった、って書いてあるよ。
C:臆病な豆太が、じさまのために勇気を出して、頑張ったんだよ!
このようなやりとりをしながら、豆太がじさまのために勇気を出して行動したことを、物語の流れに沿って確認します。
さらに、豆太が勇気を出して行動したきっかけが、「じさまを思う気持ち」であることも確認します。
そして、元気になったじさまが豆太にかけた言葉を読み返し、豆太の勇気がじさまの言う「やさしさ」と深く関連していることについても確認していきます。

本教材では、中心人物(豆太)が様々な視点から描かれています。その結果、臆病な豆太、勇気がある豆太、やさしい豆太など、様々な人物像が浮かび上がってきます。
作者の斎藤隆介氏は、作品の主題に触れ、絵本『モチモチの木』の解説の中で、「人間のすばらしい行動の底には、やさしさこそが金の発電機になっている」と述べています。
一方、児童文学研究者の西郷竹彦氏は、自著(『西郷竹彦教科書指導ハンドブック 小学校中学年・国語の授業』)の中で、「しょうべんに行けない豆太も、じさまのために真夜中に走った豆太も、どちらも人間の真実の姿であり、人間とは状況によっていろいろな姿をあらわすところに人間の複雑な豊かさがある」と述べています。
子どもたちは、この作品の主題をどのようにとらえるのでしょうか。楽しみです。