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仙台大学通信教育指導室メールマガジン 第55号

2024.03.28 THU

通信教育指導室から、こんにちは。
今回も、筑波大学附属小学校で多くの先生方のよき師として活躍された坪田耕三先生の著作から、授業の導入はかくあるべきという、アイスブレーキングの名人芸を紹介しましょう。


サンタの食う寿司

よその学校に出かけていって授業をすることがある。「授業研究会」である。

そんな時には、初めて会った子どもたちと仲良くなって授業をしなければならない。
そこで、わずかな時間で子どもたちと一緒に何かやれることを考えてから行くことになる。

最近よくやっていることは、言葉のシャッフルである。
「アナグラム(anagram)」という。

例えば、「くがいだばくつ」とはナーンダ?」とやるのである。
こんなものだったら簡単で、子どもはすぐに気付いて手を挙げる。
答えに気付く子が少ない場合もある。
しかし、それこそがこれからやる授業に生かせる方法を体験するよいチャンスなのである。

「どうも、わかった子が少ないようですね。では、わかった子に、みんなのためにヒントとなるようなことを言ってもらいましょう」と投げかけるのである。

子どもはみんな優しいから、一所懸命に、仲間のためのヒントを考える。だが、即座にはうまいヒントがなかなか出ない。結局、答えに近いようなヒントになってしまう。それがまたいい。
「この学校です」などと言ってしまうのである。

途端に、学級のたくさんの仲間が「わかった!」と手を挙げてくれることになる。

そこで、今度は、そのヒントを提供してくれた子に、誰かを指名させる。するとその子が先生役をしてくれて、別の仲間に答えさせることになってやりとりの輪が広がっていく。

私の方はというと、その様子を見ていて、この子たちは「仲のよい子どもたちだな」とか、「ああ、男の子と、女の子がはなれているな」とかいろいろ学校の様子がわかるのである。

「くがいだばくつ」の答えは「筑波大学」となるのであるが、実際には、その学校の名前とか、県名や、担任の先生の名前を拝借する。「あんた聞け」が「秋田県」になるような具合である。

そして、最後に「たくさんのすうし(たくさんの数詞)」とやる。

この問題を出すと。これから算数の授業があると意識しているのでほとんどの子が「さんすうのしたく(算数の支度)」と解釈してくれるのである。

私は、「そうですね。なかなか素晴らしい。これでもいいのですが、実は、先生は別の答えを考えてきたのです。しかし、それは授業が終わってからわかるかもしれませんね」とだけ言って、少々興味を残して、授業開始とするのである。

もう、このころには、子どもも打ちとけてくれて、授業がやりやすい雰囲気になってくる。授業の最後に、子どもたちが「算数楽しく」と言ってくれることを期待して始めることになる。

しかし、思いもかけぬ答えが登場することもある。この問題に「サンタの食う寿司」と言った子もいた。


『坪田式算数授業シリーズ① 算数楽しく授業術』坪田耕三著(教育出版2013)p.053

だるまさんがきらいだ

先輩の正木孝昌先生と一緒にある研究会に出た。質問が出た。
「まだ指を使って計算している子がいるのだが、いいのだろうか?」と言う。
顔を見合わせてどちらが答えるかを目配せした。

どちらも答えは同じ。いくらでも使ってよいというものだ。頭の中に数のイメージができるまで十分に使ってもよい。
この時、先輩は「よし、私が答えるから、その答え方を見ていろ」と言った。いったい、どのような答え方をするのだろうと気になったが興味津々でもある。

やおら、黒板に「だるまさんがきらいだ」と書いた。
「だるまさんがころんだ」なら話はわかる。しかし「きらいだ」とは何だ。

話は続く。
「だ」は1、「る」は2、「ま」は3、……、「だ」は10、とするから覚えろと言う。
そして、問題が出された。
「ま+さ」は何でしょうと。

この時、会場の先生方は、みんな指を折って数えはじめたのである。
「だるま」「だるまさ」……である。

突然、先輩は「ほら、みなさん。今、指を使ったでしょう。初めて数の言葉を約束すれば、そのイメージを指で確かめざるを得ないのです。だから、それができない段階の子どもは指を使って当然です」と。
納得の場面であった。

そして「ところで、(ま+さ)は何ですか?」とさらに問う。
答えは「き」です。
しばしポカンとする会場に、やがて笑いが起こる。「ま+さ=き」の落ちであった。
座席に戻った先輩は「どうだ」と一言。


『坪田式算数授業シリーズ① 算数楽しく授業術』坪田耕三著(教育出版2013)p.158

坪田先生と正木先生の名人芸を知ってしまったからには、早速まねをしなければ教師がすたる!とばかりに、「アナグラム」と「指折り計算法」の作問にチャレンジしました!

さぁ、皆さんは4問中、何問正解できるかな?

① アナグラム -「指図かい」(さしずかい)-
② アナグラム -「うんかは確かぞ(うんかはたしかぞ)」
③ 指折り計算法
12345678
みかんとたこやき
→ 「と」+「み」=「(  )」
④ 指折り計算法
123456734
このいわしうまいわ
→ 「い」+「わ」=「(  )」


解答

① さいかずし(齋一志先生)、② たかはしかんぞう(髙橋幹三先生) ③ と+み=た先生 ④ い+わ=ま先生

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