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仙台大学通信教育指導室メールマガジン 第54号

2024.03.21 THU

通信教育指導室から、こんにちは。
「考えたい」「知りたい」「やってみたい」-子どもにはこの三つの欲求がある。
これは、算数授業の達人-坪田耕三先生(1947-2018)のことばです。
今回は、先生ご自身による子どもの欲求を生かす授業の実際を紹介します。


足し算の結果を予言する

T:今黒板に,4つの四角を書きました。
4つの四角の中に好きな数字を入れてください。
できるだけ違う数字を入れてください。
C:はい。3,2,4,9で,お願いします。
T:3249ですね。
みなさんは3249という4けたの数字をノートに書いてください。
先生も紙に好きな数字を書きました。

見えないように折って、黒板に貼って置きます。
では,2番目の人に,好きな4桁の数字を言ってもらいましょう。
C:じゃあ、6571がいいです。
T:3249の次は、6571。すごいことになってきました。
このへんで、先生も参加しましょう。えーと、3428と入れます。
それでは,3番目の人,続けてお願いします。
C:はい、それではレベルを上げて、9438にします。
T:おーっ、やるねぇ。最後は先生が決めます。3けたの561。
さあ、5つの数字が出そろいました。

それでは、みなさん。この5つの数字を全部足してください。
たし算が苦手という人は,電卓を使ってもいいですよ。
もうできた人がいますね。それでは,答えをお願いします。
同じ答えだった人は拍手してください。
C:23247です。
T:23247ですね。大きな拍手があったので,みなさんもできたようですね。

それでは,私がさっき紙に書いた数字を開けます。みなさん、見えますか。
23247
C:おーっ。/えーっ。
T:さて,みなさんの中に「なぜ?」「どうして?」という気持ちが芽生えたのではないですか。
この「なぜ」を一所懸命考えれば,算数の力がついていきます。
その「わけ」を、みんなで知恵を合わせて,ああでもない,こうでもないと話し合うと,その「なぜ」が見えてきます。
そこがみんなで勉強することのおもしろさです。



【怪しいところ1】
最初の数字の324が,最後の答にも出てくる。
9が2と7に分かれている。

【怪しいところ2】
先生が参加して書いた三つ目の数と五つ目の数があやしい。
両方とも、どの数字もすぐ前の同じけたの数字と足すと9になるような数字を入れている。
2段目と3段目を合わせて9999。
4段目と5段目も合わせて9999になっている。
≪ 9999+9999=20000―2 ≫ になっている。

ここまでの展開を見て、おもしろいと思った方は、ぜひ教室でやってみてください。
最後の種明かしまでやってもいいのですが、黒板に貼っておいた ≪ 足し算の結果を予言して書いた数字 ≫ を子どもたちに見せて、「えっ、なんで?」「先生、すごい!」という驚きと尊敬の眼差しをもたせたところで、終わってもOKですよ。




「低学年の担任だから、無理です」とあきらめるのは早計です。
1年生や2年生の子ども向けには、次のようにアレンジすれば大丈夫です。
何事も工夫が肝心です。

T:一番好きな数字をひとつ、一番上の□の中に黒板に書いてください。
C:8。
(このとき、紙に「28」と書いて、「開けて見ちゃだめだよ」と言いながら、黒板に貼っておきます。)

T:それでは、次の人。二番目の□の中に一番好きな数字を書いてね。
C:はい、7です。
T:じゃあ、先生も参加していい? (三番目の□に3と書く)。
もう一人、好きな数を四番目の□に書いてください。
C:6。
T:先生が最後に4と書いて、おしまいにします。
さあ、たてに並んだ5つの数を足すとどうなるかな?

子どもは一生懸命計算します。8+7=15,15+3=18,18+6=……
とこの辺でウンウン言いながら頑張ります。そして、28と答えが出てきます。
そのタイミングで、「さっきの紙を開けてごらん」と言います。「28」が出てくると、子どもたちは大さわぎです。
5つのたし算をもう一度工夫してやってごらんと言うと、パッと7と3,6と4が見えてきます。
「10だ」「こっちも10だ」「なんだ28だ」と、すぐに答えが出てきます。
「先生は10になるようにやっていたんだ」と気がつくわけです。
これが簡単なアレンジです。



『坪田耕三の算数授業のつくり方』坪田耕三著(東洋館出版社2010)p.022 一部編集

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