仙台大学通信教育指導室メールマガジン 第47号
2024.02.01 THU通信教育指導室から、こんにちは。 今回は、2番目の「かくす」というしかけを紹介します。
算数授業のしかけ ② かくす
〔事例〕2年生「新しい 計算を 考えよう」
5ページに次のような問題があります。
1 のりものに のっている 人数をしらべましょう。 |
見開き3・4ページの図に目を通させてから、一旦教科書を閉じさせ、飛行機に乗っている人を隠した図を提示します。

見えていたものを「かくす」というしかけをして、実際に乗っている人数が何人かをイメージさせていきます。
隠すことで、かけ算を知っている子どもも、答えがわからなくなり、全員のスタートラインをそろえることにもなります。
T:全部で何人乗っていると思いますか?
C:4人!もし1人ずつ乗っていたら、4人じゃない?
C:8人かもしれないよ。
C:3人ずつ乗っていたような気がする。
C:わかんない!
乗っている人数が隠れているため、何人乗っているのかわかりません。そのために子どもたちは、自由に発言することができます。
T:じゃあ、1つだけヒントをあげます。どんなヒントがいいかなあ……。
C:1台に乗っている人数!
リクエストに応えて、隠しているところの一部を見せます。

この図を見ることで、
「〇人ずつ○台あるから、ぜんぶで〇人だよ」
という、持って行きたい話題に授業が焦点化していきます。
T:全部で何人乗っていると思いますか?
C:12人だと思う。
T:どうして12人だと思うの?
C:だって、1台に3人乗っていて、飛行機が4つだから、3と3と3と3で全部で12人だと思います。
T:なるほど、全部3人ずつ乗っていると考えたんだ。みんなはどうですか?ブロックで表しましょう。隣同士のペアで、自分が全部で何人乗っていると思うか説明してください。どうぞ。
ブロックを使い、ペアで各自の考えを説明させます。ペアの話し合いを見ながら、指名して黒板でも説明させていきます。
ペア活動を通して全員が自分の考えを表現したところで、電子黒板で隠していたところを1つずつ開けていきます。

子どもたちに「同じ数ずついくつ分」を印象づけるために、一緒に数えます。
C:3、3、3、3! 全部で12人!
C:やったー!
このように、授業の中で数当てクイズを繰り返していきます。
シンプルな活動なので、子どもたちは緊張せずに答えることができます。
● 間違いの原因を考えて、理由の説明へ
さて、この授業のねらいは、
「同じ数ずついくつ分かある場合は、1つずつ数えなくても全部の数がわかることを全員が説明できるようにする」
でした。授業の中で、人数を隠した図を提示することで、子どもが説明したくなる状況をつくり、授業の山場、子どもたち全員が説明する活動を仕組んできました。
子どもから引き出したいのは、
「だって、同じ数ずつだったら全部の数がわかるけど、バラバラだったらわからない」という言葉です。この言葉が出てくるように、授業をしかけていくことが重要になります。
この言葉を引き出すために、全て同じ数ずつになっている絵を提示して数当てクイズを何度か繰り返します。
すると、子どもたちは、「次も絶対に同じ数ずつになる!」と思い込んでいきます。その次に、わざと「同じ数ずつではない絵」を提示して、全員が間違える状況をつくっていきます。子どもに「同じ数ずつ」を意識させた後で「バラバラ」のものを提示することによって、「だって……」と説明したくなるように仕向けるのです。
T:コーヒーカップには全部で何人乗っていますか?

C:2人ずつ4台あるから全部で8人です。
T:じゃあ、乗っている人数を確認します。

T:2人、3人、3人、4人。合計12人。
C:えー!
T:あれ?どうして、えーって言っているのかな?
C:だって……
T:今、「だって」って言っている人がいますよ。「だって」の続きがみんなも言えますか?ペアで「だって」の続きを説明してみてください。どうぞ。
ここがこの授業でもっとも盛り上がる場面、「授業の山場」です。
ここで出てきた「同じ数ずつ」「バラバラ」という言葉を意識して使いながら、全員が「だって、……」に続く理由を自分の言葉で説明できているかを、しっかりと確認します。
「かくす」しかけのポイント
・まずは、いったん全部見せた上で、見えているものを全部隠してみる
・そして、少しずつ見えるようにしていく
「見えているものを隠す」というしかけをするだけでも、子どもたちは、隠されたものを頭の中にイメージし始めます。
「確か3人ずつ4台だよね?」など、自然に声を出しながら、同じスタートラインに立って考え始めます。