仙台大学通信教育指導室メールマガジン 第46号
2024.01.25 THU
通信教育指導室から、こんにちは。
前回は、教材に「しかけ」をつくる算数授業10の方法を紹介しました。
今回から、しかけの中からいくつか選び、実際に教育実習で使う東京書籍の教科書の教材をベースにアレンジして、紹介していきます。
今回は、1番目の「選択肢をつくる」というしかけです。
算数授業のしかけ ① 選択肢をつくる
算数の授業は一問一答になりがちです。
しかし、1つの答えで話し合うことは、なかなか難しいです。
しかも正解だけを扱ってしまうと、話し合いではなく、わかっている子どもの発表で終わってしまいます。
選択肢をつくることで、話し合う必然が生まれてきます。
『新しい算数3 上』(東京書籍)の75ページに次のような問題があります。
ゼリーが14こあります。 |

この問題をノートに書かせて、子どもたちに「計算の仕方を考えましょう」と投げかけたとしましょう。
すると、子どもたちの反応は大きく3つに分かれます。
・ すでに計算方法を知っていて、さっさと解いてしまう子ども
・ 計算はしているが間違えた計算をしている子ども
・ 計算ができていない子ども
この状態のまま、すでに計算方法を知っていて、わかっている子どもだけの計算を扱い、わかっている子どもが説明するだけの授業をしてしまうと、間違えている子どもや計算ができていない子どもはわからないまま授業を終えてしまいます。
そこで、すべての子どもが学習に参加できる授業にするために、「選択肢をつくる」しかけを使います。
〔事例〕3年生「あまりのあるわり算」
まず、問題文の一部を変えて板書します。
ゼリーが14こあります。みんなで同じ数ずつ分けます。 |
このように課題を提示して、図を見せます。

T:(ア)(イ)(ウ)の3つの分けかたを考えました。じょうずに分けられないのはどれですか。
T:自分でどれだと思うか選んでください。(ア)だと思う人、(イ)だと思う人、(ウ)だと思う人?
C:(ア)だと思う。
T:どうしてそう思ったの?
C:なんか困ったような顔をしてるから(笑)。
C:えーっ!(ア)はじょうずに分けられるよ!
C:(ウ)は一人で7こもらってるから、ふたりで分けたんだね。とすると、(イ)だよね。
T:どうして(イ)だと思ったのかな? わからない人もいるよね? ヒントが言えるかな?
わかった子どもにヒントを伝えてもらい、少しずつ情報を増やしていきます。
C:ゼリーの数が関係あります。
C:14こと子どもがもっているゼリーの数の関係です。
C:あまりがあります!
ここまでくると、(イ)がじょうずに分けられない理由がわかり始めます。
わかった子どもに、(イ)がなぜじょうずに分けられないのか、14個のおはじきを使って操作しながら説明させます。
その後、ペアをつくって、(ア)(イ)(ウ)のそれぞれについて、実際に14個のおはじきを使って二人で確認する活動を行い、全員にイメージ化を図ります。
選択肢をつくることで、あまりがある場合とない場合について自然に考えることになり、あまりがある計算を考えることに授業を焦点化することができます。
「選択肢をつくる」 しかけのポイント
選択肢は、「文」「絵」「図」「説明」「答え」「式」など、様々につくることができます。「選択肢をつくる」ことで、様々なバリエーションの授業をつくることができるということです。
このしかけのポイントは、ねらいに合わせて選択肢のつくり方を変えていくということです。
・ 選択肢にいくつか正解がある
・ 選択肢の全てが正解
・ 選択肢の全てが間違い
「この教材で、3つの選択肢をつくって提示してみるとどうなるかな?」と考えて、教材化してみるだけでも授業に変化が生まれます。
「一問一答」から「いくつかの選択肢から1つ選ぶ」活動に変えるだけでも、子どもたちが自然と思考し、考え方のもとになる言葉を引き出しながら、焦点化していくことができます。
絵や図で選択肢を示すだけで、自分の考えをもちやすくなり、算数に苦手意識をもっている子も参加しやすくなります。
しかけを考えるだけで、授業が劇的に変わります。