tanbowaii's world
HOME > 教職支援 > 仙台大通信メルマガ > 第45号

仙台大学通信教育指導室メールマガジン 第45号

2024.01.18 THU

通信教育指導室から、こんにちは。
『算数授業のユニバーサルデザイン』という本があります。授業づくりのバイブルとして最高の本です。教育実習に向け、早めに購入して繰り返し精読することをお勧めします。
今回は、その本から、子どもが動き出す授業をつくる「10のしかけ」を紹介します。


教材への「しかけ」で 子どもの姿が変わる!

いつも教科書の教材をそのまま扱うと、教師は授業を淡々と進め、子どもたちは教師に言われるままに受け入れてしまう授業になりがちです。
しかし、教材に一工夫をしてみるだけで、授業はがらりと変わってきます。
「いつも教科書通りでは参加する子どもが限定されて面白くないので、図を一部分隠して提示してみよう!そうしたら、Aくんはここでこう言ってくるだろうな」
「問題を直接問うと、わかっている子どもたちだけが発言してしまうので、全部間違っている選択肢をつくって全員に挙手させてみよう!そうすると、多分、Bさんはここで『先生!違うよ!』ってつっこんでくるだろうな」
このように、子どもの動きや言葉をイメージしながら教材研究をし、教材をそのまま扱うのではなく、教材に「しかけ」をつくって提示していきます。すると、子どもが本当に算数を楽しみ、自分から言いたくなる授業に変えていくことができます。

この「しかけ」という考え方は、筑波大学附属小学校の桂聖先生が国語において提唱されているものです。これから見ていくように、算数においても教材に「しかけ」をつくることで、授業が激変します。
以下に示しているのは、私なりに整理を行った、「教材に『しかけ』をつくる10の方法」です。教科書の教材を使い、この10の方法をもとにして授業をデザインしてみました。
このように、算数でも「しかけ」を使って授業をデザインすることで、授業が何倍も面白くなると確信しています。


教材に「しかけ」をつくる算数授業10の方法

① 選択肢をつくる
② かくす
③ 間違える
④ 情報過多にする
⑤ 情報不足にする

⑥ 分類する
⑦ 位置・配置を変える
⑧ 順序を変える
⑨ 図や絵に置き換える
⑩ 仮定する


「しかけ」を使った授業例

1年生の教科書に次のような問題があります。

ばななが 6ぽん あります。にんじんは ばななより 4ほん すくないです。
にんじんは なんぼん ありますか?

まず、子どもに、「先生と同じ早さで問題をノートに書いてね」と伝えて、問題文を板書していきます。書くことが苦手な子どもや集中できない子どものことを気にかけながら、下の文を子どもたちと一緒に書き終えます。

ばななが 6ぽん あります。にんじんは ばななより 4ほん すくないです。

ここまで全員が書いたところで、黒板に書いた問題文を隠します。これが、「②かくす」というしかけです。
「さて、文に合う絵カードはどれでしょう?これだと思う絵カードに手を挙げてね」と言いながら、右の3つの絵カードを提示します。
「①選択肢をつくる」というしかけです。


「(ア)の絵だと思う人?(イ)の絵だと思う人?(ウ)の絵だと思う人?」と一つひとつ確認しながら、全員に手を挙げさせていきます。
みなさんも、この図をよく見てください。「あれ?」と思われた方は問題文と図を照らし合わせて見た方です。実は、「③間違える」というしかけも入っているのです。
子どもたちは問題文を読み返しながら、「先生おかしいよ!」と言い出します。

C:あれ?(イ)だと思うけど違ってる。
C:(イ)だったら、バナナよりにんじんが4本多くなるよ。
C:どの絵も、みんな違うと思う。
T:3つの絵カードは全部問題文と合っていませんね。全員立ちましょう。どこが合わないかペアで説明できたら座って下さい。(ペアで説明)

C:(ア)は、バナナが6本じゃないので違います。
C:(イ)は、バナナは6本だけど、にんじんが4本少ないはずなのに、4本多いです。
C:(ウ)は、バナナもにんじんも数が違います。
T:では、文に合う絵はどんな絵を書いたらいいでしょう?ノートに書けますか?
C:書ける!
T:じゃあ、ノートに書いてみてください。

この授業では、「②かくす」「①選択肢をつくる」「③間違える」というしかけをすることで、子どもたちが「あれ?」「違う!」「だって、本当はこうなるはずだよ!」と自然と図を書いて問題の構造を明らかにすることに焦点化していくことができるようにしてあります。
しかけを取り入れることで、子どもたちが受け身なのではなく、自ら動き出す授業になったのです。
このように、本時のねらいを達成するために、いくつかのしかけを組み合わせて授業をデザインすることで、マンネリ化しがちな算数の授業が激変します。
(後略)


『算数授業のユニバーサルデザイン』伊藤幹哲著(東洋館出版社2018)p.118 一部編集

★ メルマガ次号へ ★