仙台大学通信教育指導室メールマガジン 第44号
2024.01.11 THUE
明けましておめでとうございます。
2023年の履修科目数に対するレポートの提出率は、12月末現在、2年生が73%、3年生が78%、4年生が97%と、よく頑張りました。
2024年も、学業や部活動などに全力投球しながら、通信課程の学習にも精一杯取り組んでいきましょう。
そんな皆さんに、心からのエールを込めて、「生涯一切利他」の生き方を貫いた秋田の聖農-石川理紀之助翁の名言をお届けします。
秋田の聖農-石川理紀之助に学ぶ
2004年5月29日の河北新報朝刊に『元気東北/小さな町のまちづくり人探訪』というコラムがあります。先進的な学校づくりに心を砕いた福島県三春町の前町長の伊藤寛さんを取材したコラムの中で、初めて石川理紀之助翁の存在を知りました。
伊藤さんはインタビューの中で、住民の自主的な活動を支えるリーダーに求められる心得について問われ、「時代遅れと笑う人もいるだろうが、現在でも、自己顕示欲を抑えるのは、リーダーの基本的な心構えだ」と語っています。
そして、長年自らの指針として大切にしてきたことばとして、石川理紀之助翁の五つの言葉を紹介しています。
石川理紀之助翁の五つの言葉
第一、意の如くならざるは 己の行いの足りぬなり。
第二、人の為にする損は損にあらず、わが為にする利は利にあらず。
第三、功は衆に譲るべし。
第四、わが艱難(かんなん)を人の知らざること喜ぶべし。
第五、寝ていて人を起こすことなかれ。
石川理紀之助翁って、どんな人?
(1845-1915)秋田県小泉村生まれ
理紀之助は、現秋田市金足小泉の農家奈良家の三男として生まれ、9才にして「硯にも酒をのまする寒さかな」の句を詠みました。10才から寺子屋に学び、和歌に親しむとともに、「源氏物語」「仁徳録」を書写するなど、いっそう学びを深めました。
長じて14才のとき、家人から「百姓に学問はいらぬ」と寺子屋への出入りを禁じられ、周囲に隠れて、朝2時、3時に早起きして勉学に励むのを日課とするようになりました。
17才にして稲作に興味をもち始め、農事全般の研究に打ち込むようになりました。
齢21才で、現潟上市山田の石川家に婿養子として迎えられ、地区農民の生活改善に尽力し、成果を上げました。その手腕が認められ、県の農業振興を担う官吏に任用されたのは、理紀之助28才のときでした。
その後、郷土秋田のみならず、全国津々浦々に豊かな農村を築くため、終生農家経済の実践的指導に献身しました。そして生涯、富や権力におもねることなく、思いやりの心をもって人に接する姿勢を貫きました。
"寝て居て人をおこす事勿れ"をはじめとする訓言は、没後百年以上経過した今なお多くの人々の心に深く刻まれるとともに、多くの人々を導く道標となっています。
19年前に石川理紀之助翁の存在を知って以来、翁のことばを深く心に刻んで生きてきました。翁のことばの意味を、教師の視点からあらためてかみ砕いてみたいと思います。
意の如くならざるは 己の行いの足りぬなり。
子どもが自分の思うように動かないとき、子どものせいにして責めたりしてはいけない。その時点で、自分自身の成長は止まってしまう。自分の取組を謙虚に見つめ直す姿勢こそが教師に求められているのである。
人の為にする損は損にあらず、わが為にする利は利にあらず。
子どもたちの成長のために汗を流すこと。よりよい授業を目指して教材研究の労をいとわないこと。このような努力を損と考えてはいけない。子どものためにする苦労は、結果的に自分の力量を高めることにもつながるのである。
功は衆に譲るべし。
子どもたちの成功が、教師の懸命の支え抜きには語れなかったとしても、自分の功を語ってはいけない。子どもたちの精一杯の頑張りを真っ先にたたえ、成功と成長をともに喜ぶのが、教師のあるべき姿である。
わが艱難(かんなん)を人の知らざること喜ぶべし。
教師は子どもを支える黒衣(くろご)に徹し、見えない努力を積んでいきたいものである。子どもたちが自分の力に自信をもって進路を切り拓き、次の段階に力強く進んでいくことこそが、教師の喜びである。
寝ていて人を起こすことなかれ。

自分が努力もせずに、子どもたちにだけ、「ちゃんとしろ」「努力しろ」と命令してはいけない。
自身の日々の取組や生き様、後ろ姿で、子どもたちを導いていくのが、教師のあるべき姿なのである。
今年も皆さんの夢の実現を全力でサポートしてまいります。新しい1年、ともに頑張りましょう。よろしくお願いいたします。