仙台大学通信教育指導室メールマガジン 第40号
2023.11.30 THU
通信教育指導室から、こんにちは。
これまで、安藤先生の三つの扉を見てきました。
今回は、大トリ第10の扉 「オリジナル原稿用紙で書けるようになる!」を紹介します。
書く力がますます求められる時代に、目からウロコの工夫です。
第10の扉 オリジナル原稿用紙で書けるようになる!
私が現役で教師をしていた15年前に比べ,現代は「書く力」がさらに求められる時代になっていると感じています。
友だちとの連絡手段は,電話ではなくほとんどメールやLINEなどの文字コミュニケーションに変わっています。仕事の報告ひとつとっても,以前なら直接顔を合わせて報告していた案件もメールでの報告書に変わってきています。実は,昔より今のほうが,文章を書かなくてはいけない機会が増えているのです。
しかし残念ながら,大人になっても,文章を書くことに苦手意識を持っている人はたくさんいるように感じます。
私は,子どもたちに「書くことが楽しい」という感覚を持ち「文章で自分の考えや気持ちを伝えることができる」という経験をしてもらいたいと思います。
そのためには,必ずしも最初から「上手な文章」を書けなくてもいい。まずは「上手な文章を書くこと」よりも「時間をかけずに文章がすらすら書ける」ことのほうが大事なのです。
作文が苦手だという子を見ていると,ほとんどの子が原稿用紙を前に手がとまっています。5分たっても,10分たっても一文字も書けていません。これではやはり「文章が苦手」と思ってしまうでしょう。
大事なのは「作文を書きましょう」と言われた瞬間に,一斉に全員の鉛筆が動くこと。短い時間ですらすらと文章を書けること。まずはこれを目指します。
◆ 原稿用紙を渡すから書けなくなる
子どもたちが書くことが苦手になる原因のひとつは,学校で使う「原稿用紙」にあると私は思っています。
あの400字詰めの原稿用紙!あんな壮大なものを渡されるから,「こんなに書けるわけがない」と途方にくれてしまうのです。
私のクラスでは,原稿用紙は2行,3行,4行……など,いろんな分量に切って用意しています。子どもたちは,自分の好きな分量の原稿用紙を手に取っていきます。
◆ 数行分の短冊型原稿用紙
私が授業で使っているのは,裏面の写真のような短冊型の原稿用紙です。

2行なら書ける。書けたら次を取りに行く。
今度は3行にしてみようかな。
子どもたちには自分で書けると思う分量の原稿用紙を持っていくように伝えています。
子どもたちは思い思いの長さの原稿用紙を持っていきます。書くことに自信のない子は2行の原稿用紙を持っていきます。自信のある子は最初から10行くらいの原稿用紙を持っていきます。
どんなに書くことが苦手な子でも,2行の原稿用紙は必ず埋めることができます。子どもたちはこれまでに、第1の扉から第9の扉まで、様々なゲームを通して、「話す」「聞く」「書く」のそれぞれの力を身に付けてきています。すらすら書けるようになっているのです。
最初は2行の原稿用紙を持っていった子も,次は4行,また2行,その次は6行と,新しい原稿用紙を取りにきて書き進めているうちに,気づけば400字詰め原稿用紙1枚くらいの文章量になっているというわけです。
そうして書きあげた原稿用紙をセロテープでつなぎ合わせ,それを元に今度はカットされていない新しい原稿用紙に清書します。
ほんの少しの工夫ですが,「書きにくい理由」をひとつずつ排除していくことが,大事なのです。
「はい、スタート」と言うと,全員の鉛筆が一斉に動きだす瞬間は何とも言えません。
◆ 2行から書き始めた2年生の作文

2行、4行、3行、……と書き進めては追加の原稿用紙を取りにいくうちに、こんなにすてきな散文詩のような「おんせん」の思い出が出来上がりました。