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仙台大学通信教育指導室メールマガジン 第23号

2023.07.13 THU

学びひたろう 教えひたろう 優劣のかなたで

通信教育指導室から、こんにちは。
今回のキーワードは、「優劣のかなたに」です。
得意な子どもも苦手な子どもも、それぞれの持てる力を目いっぱい使って、無我夢中で学ぶ教室
―― 誰もが目指す理想の教室の姿です。


優劣のかなたに

大村はま
優か劣か
そんなことが話題になる,
そんなすきまのない
つきつめた姿。
持てるものを
持たせられたものを
出し切り
生かし切っている
そんな姿こそ。

優か劣か,
自分はいわゆるできる子なのか
できない子なのか,
そんなことを
教師も子どもも
しばし忘れて,
学びひたり
教えひたっている,
そんな世界を
見つめてきた。

学びひたり
教えひたる,
それは優劣のかなた。
ほんとうに 持っているもの
授かっているものを出し切って,
打ち込んで学ぶ。
優劣を論じあい
気にしあう世界ではない,
優劣を忘れて
ひたすらな心で,ひたすらに励む。

(中略)

学びひたり
教えひたろう
優劣のかなたで。


『優劣のかなたに 大村はま60のことば』苅谷夏子著(筑摩書房 2007)p.223 一部編集

優劣のかなたに

劣等だとか,優等だとかいう世界の向こうの世界へ子どもを連れていくことは,しなければならない。
教室で座りながら,できない,つらいなどと思わせる,片っぽうは反対に得意になっているとかーーおよそ人間を育てる世界らしからぬ世界,そういうところに子どもを置いてはだめです。
( 中 略 )
教室のなかで,それぞれ学習に打ち込んでいて,それぞれ成長していて,だれができ,どの子ができないなどと思っているすきまがないようにしなければならないと思います。できない子が不幸な気持ちで涙をのむなどということがあってはならないと思います。
( 中 略 )
生徒が、できるとかできないとかということを忘れて,全力をふるって,うちこんでやっていく。一生懸命やっていく。おもしろい授業を力いっぱいさせて,生徒に自分が劣っていることも忘れて打ち込ませるところまではもっていかなくてはと思っています。


『大村はま国語教室 11 国語教室の実際』 大村 はま著(筑摩書房 1983)p.307 一部編集

和訳に挑戦!-What is living? 生きるってどんなこと

「優劣のかなたに」を意識して取り組んできた英語の授業のひとコマを紹介します。

① Living is crying.
② Living is drinking milk.
③ Living is sleeping.
④ Living is smiling.
⑤ Living is sitting.
⑥ Living is eating.
⑦ Living is crawling.
⑧ Living is standing.
⑨ Living is walking.
⑩ Living is playing with your friends.

上の詩は、赤ちゃんが生まれてから一歩ずつ成長してきた軌跡を英語で綴ったものです。
中学卒業を前にした時期にこの詩を取りあげて授業を行うと、何とも言えず和やかで楽しい学びの時間が流れます。
音読練習の後、ヒントとして「げんこつ山の狸さん」の歌を振り付けつきで歌ってあげます。
教室いっぱいに笑顔が広がり、「あっ、分かった」という声が上がり始めます。

子どもたちは英語の得意不得意に関係なく、分かるところから訳し始めます。
まず、「②を『生きることは牛乳を飲むこと』と訳している人は0点だよ」と、英語の得意な生徒を牽制します。
少し間をおいて、「正解は『おっぱいを飲むこと』です。ミルクでもOKです」と言うと、男子は少し恥ずかしそうにしています。
「う~っ、先生」という声も聞こえてきます。

多くの生徒がつまずくのは、⑦のLiving is crawling.です。
そこで、英語は大の苦手、水泳の得意なA君の登場です。
A君はクロールcrawlの動作を繰り返しながら、「そうか!ハイハイか!」と叫びます。
周りから「A、スゲー」の声があがります。 …… (*^-^)

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