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仙台大学通信教育指導室メールマガジン 第16号

2023.05.18 THU

通信教育指導室から、こんにちは。
田中博史先生のネタはまだまだ尽きませんが、本職の算数ではなく、国語の漢字練習のアイデアを最後に紹介して、小休止したいと思います。


レーダー作戦ゲーム ー 漢字だって楽しく覚える

いかに楽しく学ばせるかが、ポイント

九九の練習方法もそうですが、くり返しをたくさんさせる場面では私はいつも「いかに楽しく子どもに学ばせるか」を考えています。
先ほどのかけ算九九だけでなく、国語の漢字などでも工夫次第で楽しくすることは可能です。

たとえば、「レーダー作戦ゲーム」。

上の図の①~⑳のように漢字の範囲を設定して、その中から2人組のペアでお互いに問題を出し合います。

そのとき、相手が出してくる問題を5問なら5問予想して、その5問を答える側が先に解いておきます。

回答者が解いた問題と、出題者の選んだ問題とが一致したら、一問ごとに回答者に得点が入ることにしますが、たとえ問題が一致していたとしても、漢字を正しく書けていなければもちろん得点は入りません。
つまり、このゲームでは「この漢字が難しいから、相手はこの問題を出しそうだな」と考えなければいけないということです。「これ出されると嫌なんだよな。これかな」などと考えること自体がとても頭を使うことなのです。


ドリルに並んだ漢字を片っ端から書いていくことよりも、わからないものをあぶり出すこと、つまり自分のわかることとわからないことの境界線を探っていく活動が学びの大切なポイントだと思うのです。
それをゲーム感覚で友達と楽しんでしまおうというのが、この「漢字版レーダー作戦ゲーム」でした。


『子どもが変わる授業』田中博史著(東洋館出版社2015)p.127 一部編集

これを読んでこのゲームの具体的な進め方を理解するのは難しいような気がします。
でも大切なのは、「面白そうだ。授業に取り入れてみよう」と考え、説明の仕方やルールを考え、実際にやってみることです。
そして少しずつ改善し、自分の財産にしていくことです。


子どもが漢字の練習をしたくなる教師のひと言

さて,ここまで読み進めてきた方のなかには,次のような思いをもつ方もいるかもしれません。
「子どものエネルギーを育てるために仕掛けることが大切なのはよくわかったけれど,九九遊びみたいな仕掛けを自分でつくるのは,ちょっとむずかしそう」
でも,大事なことは,ゲームを毎回,周到に用意することではないのです。

ゲームそのものをつくることが重要なのではなく,「子どもが自分で決める場面」「子どもが自分からやりたいと思う場面」をどうやってつくるのかが,教師が考えたい重要な点なのです。
勉強でも日常のなかでも,子どもと接しているそのときどき,場面場面で,考える機会はめぐってくるはずです。

子どもに勉強をしてほしいと思うなら,「勉強をしなさい」と子どもに押しつけることなく,いかに子どもが自分から勉強したくなるようなやりとりをするのか。

たとえば,子どもが漢字の練習をしている場面があるとしましょう。
そういうときに,教師が「この漢字を○回,書きなさい」と子どもにいうことがありますが,このように声をかけるかわりに「じゃあ,何回書けばこの漢字をおぼえられる?」と子どもに聞いてみます。
すると,子どもは「うーん」と考えて,「この漢字なら,3回書けばおぼえられる」などと答えるでしょう。
そうしたら,「じやあ,これから漢字の練習をするときには,何回書けばおぼえられるのか,ひとつずつ自分で決めてやってみよう」と声をかけます。

子どもは,漢字をひとつひとつ吟味しながら「この漢字は簡単そうだから3回,この漢字は画数が多いから10回」などと考えて決めていき,その回数をそれぞれ練習用のノートに記入します。
そうしたら,ここで教師がひと言,「じゃあ,いま自分で決めた回数よりも多く練習してはいけません」。
この言葉を聞いたとたんに,子どもは「待って,待って」とあせりはじめるかもしれません。

この漢字の練習にまつわるやりとりを,実際に私は学校の子どもたちにやってみることがありますが,「決めた回数以上やってはいけません」と私が口にしたとたん,子どもたちは「じゃあ,やっぱりこれ7回にする」などと回数を増やしたりします。

つづけて私が「じゃあ明日,いまの漢字をテストするからね」などというと,子どもたちは「いや,先生,いますぐやってください。
だって,明日になったら忘れるから」と(笑)。テストを自分からのぞむなんてよく考えたらすてきだと思いませんか(笑)。


『子どもに教えるときにほんとうに大切なこと』田中博史著(キノブックス2019)p.36 一部編集

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