仙台大学通信教育指導室メールマガジン 第15号
2023.05.11 THU
通信教育指導室から、こんにちは。
4月に入ってから3回連続で、田中博史先生の著作から「学級づくり」について学んできました。
今回は、算数指導の達人の田中博史先生の ≪楽しい九九学習の進め方≫のアイデアを紹介したいと思います。
九九遊び …… アンラッキーナンバーを言ったらアウト
子どもはくり返しがちょっと苦手
かけ算九九の練習のときに、みんなで声をそろえて「ニイチがニ、ニニンがシ」とひたすらくり返している様子を目にすることがあります。
九九の暗記でくり返しが大切なのはもちろんなのですが、子どもは同じことのくり返しが好きではありません。練習方法もいつも同じでは、やはり飽きてしまうでしょう。
九九の練習も、ちょっと視点を変えてみると、ゲーム感覚の楽しい遊びに変身します。
私が実践している九九遊びを、一つご紹介しましょう。
アンラッキーナンバー 「一の位が3」
まずは教師が「アンラッキーナンバー」を決め、子どもたちに発表します。
たとえば、アンラッキーナンバーを「一の位が3」と決めてゲームをスタート。
子どもたちは5~6人のグループをつくり、教師が指定した段の九九をグループのメンバー一人ひとりが順に言っていきます。
※ アンラッキーナンバーはあらかじめ用紙に書いて黒板に裏返しに貼っておき、ひっくり返して発表すると演出効果も満点です。
アンラッキーナンバーは「一の位が3」、試しに 七の段 でやってみましょう。
「7×1=7」と最初の子が言ったら、隣の子どもが「7×2=14」、さらに隣が「7×3=21」。いずれも積の一の位が3ではないのでセーフです。
続けて「7×4=28」「7×5=35」「7×6=42」「7×7=49」と言っていくと、どうやら七の段の積には一の位に3が出てこない?
「全員セーフ!?」と子どもたちが安心しかけたそのとき、「7×9=63」!最後の最後にアンラッキーナンバーが登場、この九九を言った子どもはアウトになります。
つまり、七の段の9つの積のうち、一の位が3になるのはこの7×9=63だけなので、アウトになるのもたった1人――まさに運だめしのゲームなのです。
※ ちなみに、このゲームでは最初はみんなを立たせておき、アウトになったら座るというルールにしておくと、ドキドキ感も倍増します。
くり返して最後の一人になるまでやります。単純に九九を聞くだけでは退屈ですが、これなら誰が残るかハラハラしながらずっと聞いていられます。
アンラッキーナンバー 「一の位が5」
さて、七の段のチャンピオンが決まったところで、今度はアンラッキーナンバーを「一の位が5」に変えて、五の段 をやってみます。
ゲーム開始、最初の子どもが「5×1=5」一人目からいきなりアウトです。次の子どもは「5×2=10」でセーフ、その次の子どもは「5×3=15」でアウト、さらに次は「5×4=20」でセーフ・・・・・・そうです、五の段では積の一の位が一つとびに5となるので、二人に一人が交互にアウトになるという展開です。
「先生、五の段は大変だよ」と大騒ぎになります。
九九表のきまりを発見する学習
この活動は実は、九九表の数のきまり発見をする学習と同じ効果があります。
このゲームのよいところは、プレーヤーとして九九を言い続けている子どもだけでなく、すでにアウトになってしまった子どもも勉強になるという点です。
子どもたち全員の集中力が増す
アウトになって座っている子どもも、「他人が言っている九九をずっと続けて聞く」ということ自体がとても勉強になりますし、ゲームのドキドキ感で集中力が増すのは子どもたち全員にとってのメリットと言えるでしょう。
5~6人のグループでやっているので、間違えたら友達同士で修正して学び合うことができます。授業中にペア学習など2人組の活動をする光景もよく見ますが、2人では両方ともあやしいときもあるため注意が必要です。
どの子も楽しみながら学習できる
もう一つ、この遊びのよいところは、ゲームの勝敗が「九九ができる・できない」でなく「運」にかかっているというところです。
アンラッキーナンバーという言葉の通り、アウトになるのはあくまで運がなかったというだけのこと。九九がスラスラと言える子どもも、まだ自信がない子どもも、同じ土俵で楽しみながら勉強できるところが、何より子どもたちに人気がある理由かもしれません。
「さんし=12」「さんしち=21」と音が酷似していたり、「さぶろく=18」「さんしち=21」と同じ数でも呼び方が変わったり、九九の計算は落とし穴がたくさんあります。
「アンラッキーナンバー」のような楽しい工夫を大事にしたいですね。 ('◇')ゞ