仙台大学通信教育指導室メールマガジン 第14号
2023.04.27 THU
通信教育指導室から、こんにちは。
今回も、おなじみの田中博史先生(元筑波大学附属小学校副校長、「授業・人」塾代表)の著書『田中博史の算数授業のつくり方』から、「学級づくりのコツ」を紹介します。
仲間づくりゲーム
私は,子どもたちと「仲間づくりゲーム」もよくやります。私が手を叩いた数で集まるというゲームです。
クラスの子どもは40人です。その場合,例えば6や7の数で手を叩きます。そうすると,必ず仲間はずれが出ますよね。人数がそろわない。
そこで,「先生,そんな数じゃなくてね。もっと4とか8とかにしてくれると,みんなが仲良くできるよ」という子どもの言葉を引き出します。
わざと割り切れない数でやると,1人,2人が余って,かわいそうな子ができるでしょう。そのときに,仲間はずれになってしまって動いている子を目で追う子がいるんですよ。
心配してずうっと見ている子と,もう決まったグループでおしゃべりを始めている子では違うでしょ。私は,友だちを心配して目で追ってくれる子をほめてやるんです。「あの子見てごらん。ほら,なんかずうっと心配しているよ」と。こうすると,友だちに心遣いをする子が生まれます。

それで,「じゃあ,40人だったら何人がいい?」と尋ねます。割り算ができなくても,そのぐらいはわかりますね。「2人組がいいよ」や「4人組がいいよ」など。
では,ここまでの話を聞いたところで,先生方もこのゲームをやってみましょう。まず4人組をつくってください。
あれ?向こうに2人余っています(余っている2人を誘う声が出る)。そうですね。こうして,お互いが今のように気遣うことは,とても素晴らしいことですね。
『田中博史の算数授業のつくり方』田中博史著(東洋館出版社2009)p.008
人間関係づくりは学級づくりの基本です。特に4月は、ゲームなどをうまく活用して楽しい雰囲気の中で、学級づくりを進めていきたいものです。上に紹介した「仲間づくりゲーム」のように、手軽にできるゲームの持ちネタをできるだけ多く持ちたいものです。
名前で呼び合うためのゲーム
今から自己紹介をしていただきます。
普通の自己紹介は,名前を言いますね。
それを一回終えたことにしましょう。
その後,私は,高学年の子を仲良くさせるために,意図的に下の名前で自己紹介をさせます。
無理やりでも下の名前で呼んでみることを体験させるのです。
女の子が男の子が呼ぶときに,例えば「田中さん」と苗字でしか呼べない子が,「ひろしさん」や「ひろしくん」と下の名前で呼べるようになるだけで,心の距離がちょっと近くなります。
では今から,この「下の名前を呼び合うためのゲーム」をします。
1人目の方は「私の名前はひろしといいます。よろしくお願いします」と自分の名前を入れた自己紹介をします。
2人目の方は「私の名前は,ひろしくんの隣の花子です」というように,前の人の名前に続けて自分の名前を言います。
3人目の方は,「ぼくの名前は,ひろしくんの隣の花子さんの隣の太郎です」とどんどん名前が増えていきます。
全員が1周したら,一番最初の方は,全員の名前を言ってゴールとなります。
(自己紹介し合うにぎやかな声と笑顔)
終わりましたか?
ちょっと距離が近くなったような気がしませんか?
今は4人でやりましたから,みなさん比較的失敗してないでしょう。
でも,これが,例えば6人ぐらいになると,覚えきれなくなりますね。
そのとき,どういう状況が起こると思いますか。
困って言えなくなる子がいますね。
その子に対して,ただ黙って「なによ,あんた覚えてないの?」という雰囲気の子と,「違う違う。ほら,こっちは太郎くんだよ」と言って教えてくれる子がいます。
その後者の子を探します。

そして,その子をまたほめてやります。
テストをやっているわけではないのだから,困っている子がいたらサポートをしていいんだよという雰囲気をつくってあげるのです。
ところで,ここでもちょっと算数をしましょうか。
このゲームの中で今,名前を何回呼びましたか。
実は「1+2+3+4+…」というようになります。
私は算数科の教師ですからね,今のような仲間づくりのゲームをしながらでも,やっぱり算数の話をちょっとずつ入れていくんです。
お付き合いしていただいてありがとうございました。席に座りましょう。
『田中博史の算数授業のつくり方』田中博史著(東洋館出版社2009)p.009
ゲームを通して「『仲間に入れず困っている子』や『友だちの名前を思い出せずにいる子』のことを気にかける子ども」を探し、その優しさにスポットライトを当てることで、担任が「大切にしたい子どもの姿」がクラスに浸透していきます。
確かな意図をもつことで、ゲームは 《 学級づくりの重要なツール 》 になります。