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仙台大学通信教育指導室メールマガジン 第08号

2023.03.07 TUE

通信教育指導室から、こんにちは。

面接官:学校の先生の一番大事な仕事は何ですか。

難しい質問ですね。
面接でいきなりこんな質問をされたら、皆さんはどう答えますか。
今回は、その答えを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。


見えぬものでもあるんだよ

「教師の一番大事な仕事」について考えるときに、真っ先に浮かぶ詩があります。
金子みすゞの『星とたんぽぽ』という詩です。

『 星とたんぽぽ 』(金子みすゞ)

青いお空のそこふかく,
海の小石のそのように
夜がくるまでしずんでる,
昼のお星はめにみえぬ。
  見えぬけれどもあるんだよ,
  見えぬものでもあるんだよ。

ちってすがれたたんぽぽの,
かわらのすきに,だァまって,
春のくるまでかくれてる,
つよいその根はめにみえぬ。
  見えぬけれどもあるんだよ,
  見えぬものでもあるんだよ。

子どもたちが、人知れずひそかに重ねている一所懸命の頑張り。
子どもたちが心の中にこっそりしまい込んでいる悩みや悲しみ。
これだけは譲れないと大切に守っている小さなプライド。
…… 最後の「見えぬものでもあるんだよ」、この一文を心に留め、子どもたち一人一人の小さな思いや大事な宝をしっかり受け止められる教師でありたいものです。


人生を拓いてくれた先生の一言

D.カーネギー著『人を動かす』(創元社文庫p.43)に次の一文があります。

ポール・ハーヴェーはラジオのレポーターとして知られているが、『後日物語』と題した番組の中で、心からの賞賛で一人の人間の人生が変わる話をしていた。
何年も前、デトロイトのある学校の女先生が、授業中に逃げた実験用のネズミを、スティーヴィー・モリスという少年に頼んで、探し出してもらった。

この先生がスティーヴィーにそれを頼んだのは、彼が、目は不自由だが、その代わりに、素晴らしく鋭敏な耳を天から与えられていることを知っていたからである。

素晴らしい耳の持ち主だと認められたのは、スティーヴィーとしては、生まれてはじめてのことだった。

スティーヴィーの言葉によれば、実にそのとき ― 自分の持つ能力を先生が認めてくれたその時に、新しい人生がはじまった。

それ以来、彼は、天から与えられた素晴らしい聴力を生かして、ついには「スティーヴィー・ワンダー」の名で、1970年代の有数の歌手となったのである。


教師の主な仕事のひとつに「評価」があります。
教育現場はいま、評定などについての保護者からの問い合わせに対していつでも説明責任を果たせるようにと、きめ細かな情報の収集と記録に追われ、汲々としています。
スティーヴィー・ワンダーのエピソードは、そんな学校の現状に警鐘を鳴らし、教育の本来の役割を問い直しているように思います。
教師の本当の仕事は、まだ顕在化していないどの子どもにも必ず備わっている才能を発掘し、一人一人の人生を拓いてあげることにある、との思いを新たにしています。


20過ぎたらただの人

早生(わ せ)の人 = 10で神童   15で才子    20過ぎたらただの人
旬 (しゅん)の人 = 10でただの人 15でもただの人 20過ぎてもただの人
晩生(おくて)の人 = 10でぼんやり 15でまあまあ  20過ぎたらただの人

『テレビ寺子屋』吉岡たすく(サンケイ出版1982)p.70

日曜朝5時30分からフジテレビ系列で放映されている『テレビ寺子屋』という番組があります。
1977年から45年間続く長寿番組です。
その中で、講師の吉岡たすく先生が板書したのが上に紹介した3行のことばです。




早生の子もいれば、晩生の子もいる……子どもたちの成長は、一人一人違って当たり前。
「20過ぎたらただの人」ということばは、学校での成績も確かに大事、でも社会に出たら、その人の人間性や生き方の方がもっと大事だよと、教えてくれているように感じます。
もっとおおらかに行こうよ!……そういう思いにさせてくれる味わい深いことばです。

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