仙台大学通信教育指導室メールマガジン 第02号
2023.01.17 TUE
通信教育指導室から、こんにちは。
今回も、細水保宏先生(明星小学校・校長)の『算数のプロが教える教材づくりのコツ』をベースに、おもしろい授業のネタ(タネ)をお届けします。
このネタを授業参観の導入などで使えば、「先生、すごーい」「先生って、数字の魔術師?」と勘違いしてくれる保護者続出(!?)。ファンクラブができるかも知れませんよ。
君の好きな数字は?
若い先生に「授業開きにはおもしろい問題をやるといいよ」と言うと,「おもしろいと言われても,授業にすると難しいのでは…」と腰が引けてしまう方もいます。
そこでまずは,誰にでもすぐにできる教材を紹介しましょう。
最初に,子どもを一人指名して,2~9までの中から好きな数を一つ選んでもらいます。
「7」
「7か。ラッキーセブンだね」
子どもの返事に応えながら,黒板に次の式を書きます。
37×21=?
計算した子に答えを聞きます。
「777」
「お,速い。君たちはかけ算のプロだね」

次に,また別の子を指名して,好きな数を聞きます。
「5」
「じゃあ,37×15は?」
「555」

2問だけでは,反応はまだ少ないでしょう。
ほとんどの子が,ただの計算練習だと思っています。
でも,中には問題の意味に気付く子も現れます。
「あ!わかった!」
「気付いた子がいるみたいだけど,絶対に言っちゃダメだぞ」
そう言って問題を出し続けます。
「好きな数は?」
「3!」
「では,先生がどんな式を書くかわかるかな?」
ここで誰かが発言してくれるのを待ちます。
「37×9!」

このあたりになると,うなずく子が増えてきます。中には「あ!」と息を吸う子も。本当にわかったとき,人は息を吸います。気付いた子を見つけると,先生もワクワクしてきます。
「うなずいている子が増えてきたね。聞いてみたいけど,まだ聞かない方がいいな」
答えを言いたそうにしている子には,「まだ気付いていない子もいるから」とノートにメモをとるように指示。あとでノートを見たときに評価できるように,子どもたちにはメモをする癖をつけさせます。
まだ気付かない子たちには,黒板を見るように促します。

「困ったら,黒板を見ること。先生はヒントを出しているから」
黒板には,
37×9=333,37×15=555,37×21=777
と式が整然と並んでいます。
皆さんはもうお気付きでしょう。
7を選ぶと,答に7が3つ並び,5を選ぶと5が3つ,3を選ぶと3が3つ並びます。つまり,選んだ数が答えに3つ並ぶのです。
では,6を3つ並べるにはどうしたらいいでしょうか。
ここが問題の「ハテナ」となります。ハテナとは,子どもたちが「解きたいと思う問い」です。6を3つ並べるには,どうすればよいか?子どもたちに「解かせたい問い」でもあります。
この問題の基本は,37×3=111です。乗数である3に5をかければ,37×15で答えは555になるし,3に7をかければ777になります。最初に選ぶ数の中に1が入っていないのは,1を選ばれると仕組みがすぐにバレてしまうからです。
教材としてはシンプルで,授業もやりやすい。先生は「2~9の中で好きな数字は何?」と聞くだけです。冗談を交えながら,とにかく自分がおもしろい先生だというイメージをもたせれば,その後の授業づくりも楽になります。
単純に計算の練習として、出来上がった数の並びの美しさを感じさせるだけでもよいと思います。
「掛け算って、なんか面白い」と、算数に親しみを感じさせるだけでも作戦成功です。
乗数が3の倍数になっていることに子どもたちが気付けば、さらにワクワクの展開もできるでしょう。
実際にやってみることが大切です。自分なりの展開の仕方や間のとり方などを体得しましょう。