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仙台大学通信教育指導室メールマガジン 第31号

2023.09.21 THU

通信教育指導室から、こんにちは。
有田和正先生は、講演の中でいつも「ユーモア教育」の大切さを説き、
「1時間に一度も笑いのない授業をした教師は、授業終了後、ただちに逮捕する!」
という名言まで遺されました。
その有田先生は「もともとネクラだった」とか……。
今日は、ユーモアについての勉強です。


ユーモア教育で子どもを変えよう

子どもの頃から文章を書くくせをつけ、書くことを苦にしないようにしたい。
文章を書くことで、書く力をつけ、ユーモアのセンスを鍛えたいと考え、実践してきた。
書くくせをつけるには、1年生がいちばんよい。
入学のときから書かせていけば、「書くものだ」「書くのが当然」と思うようになる。
そして、書くことを苦にしなくなる。
このためにわたしがしたのは、

・「おたよりノート」を毎日書かせる
・「はてな?帳」を毎日書かせる

という作戦であった。
4月から9月までは、黒板に連絡したいことを書き、それを「おたよりノート」に視写させた。
これは、書く力、それも速書きの力がついた。「えんぴつの先から煙の出るスピードで書きなさい」と、時々はげました。
10月からは、わたしが口でいって書かせた。聴写へ切りかえである。聴写の力もつけなくてはならないからである。
これで、聞く力と速書きの力が、ぐんとついた。
同時に、ユーモアのセンスが練れてきた。
毎日の「おたよりノート」の文の中に、面白いことを入れるからである。例えば、次のようにーー。

やよい4日(水)
きのう、山崎くんが大けがをしたのでR。
手をつかないで、顔をついてしまったのでございます。
それで顔が少しこわれたのでございます。

ころぶときは、かならず手をつくのでR。せっかくある手を、じょうずにつかいましょう。
山崎くんは4はりぬったのでR。かわいそうでございます。
たか田くんは「学校休めていいな」と、バカなことをいっているのでR。

こんな文を毎日書かせているうちに、子どもの頭の中に、ユーモアのセンスがしだいに育ってくる。
すると、子どもはすぐに「はてな?帳」を書くときに応用する。ためしてみる。
だから、しだいに「はてな?帳」の文が面白くなってくる。
ユーモアのセンスは、全生活の中で鍛えていかないと、なかなか伸びない。

弥生4日       1年 山崎俊輝
べつにいそぐこともないのに、走り出したのでR。どうしてでしょう。
まもなく、体がバランスをくずしたので、さっそく あたまでおさえたのでございます。
そのとき、ぼくの手は、ほかのことでいそがしかったのでしょうか。それで、おでこが、ちょっとつぶれちゃったのでございます。
ころんだとき、血がポタポタ、はなのよこをながれて、びっくり、こわかったのでございます。
そのとき、どこかで見たことのあるおじさんがあらわれました。
「あっ!有田先生だ!」
見たとたん、ぼくのむねは、ほっとしました。あのときの先生の顔を見て、ぼくは、よくできた、びなんしな顔にはじめて気がつきました。
ほんとうにたすかりました。心からありがとうございました。

山崎君がけがをした直後、幸運にもわたしが通りかかった。とにかくすごい血だった。顔は、目だけしか見えないくらいだった。
そういうときでも、ユーモアが出てくるのに驚いた。

弥生7日       1年 山崎俊輝
4日ぶりに学校へ行って、さっそくおみまいインタビューをうけました。みんなは、けがのことをしんぱいそうにききました。なんとやさしいみなさまでございましょうか。
ぼくも、家にかえって、すぐ山本さんと青木くんに、おみまいコールをしました。
山本さんは、ふうしんにかかったけど、元気そうな声であんしんしました。青木くんは、気分がわるくて、おなかがいたかったそうです。いつもよりちょっと元気がない声でした。
でも、ぼくの電話で、きっと元気になるでしょう。
ぼくも、みんなの電話でいたみなんてわすれました。今まで、となりの友だちが休んだときしか、電話をかけなかったですけど、こんどのけがで、みんなに電話をもらってほんとにうれしかったので、ぼくもかけるようになりました。
けがをして、べんきょうになりました。

お世話になった人に感謝することを学び、友だちのよさを学び、自分も早速おかえしをすることを学んだ。こういうことを学べたり、できたりすることが、本当のユーモアかもしれない。


『「ユーモア教育」で子どもを変えよう』有田和正著(明治図書1993)p.102、p.079

有田先生の粘り強い取組によって、「おたよりノート」と「はてな?帳」は、子どもたちの様々な力を引き出す魔法のツールとして機能しました。
まさに、継続は力なり、です。

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