仙台大学通信教育指導室メールマガジン 第05号
2023.02.14 TUE
通信教育指導室から、こんにちは。
前号では、子どもを褒めるときは、具体的な行動や姿を取り上げて褒めることが大事、という話を紹介しました。
これは昔も今も変わらぬ、学級づくりや授業づくりの基本ですね。
今回は再び算数の授業に戻って、数をまとまりとしてとらえることの大切さを考えていきましょう。
私(佐藤俊隆)は〔ねじりほんにょ〕で有名な栗原市の専業農家の出身です。
両親の手伝いに明け暮れた小学校時代。稲刈りの時期がくると、〔ほんにょ〕(穂ニオ)用の杭(くい=支柱)を牛車に積んでは田んぼに運ぶ手伝いをしたものです。
1反(1たん=10アール)当たり、杭25本が目安。4反分で杭100本です。
父親に「5反分杭出して、牛車に積んでおげー」と言われれば、4反分の100本に1反分の25本を足して、125本の杭を杭置き場から運んで牛車に積み、ロープでしばっておくわけです。
実は〔25〕という数字は農作業の基本単位なのです。
春先に準備するイネの苗箱の数は、1反当たり25箱が基本。
私が子どもの頃の農作業には、25×〇の暗算が不可欠だったのです。
こんなわけで、教師(中学・英語)になってからは、数学の補欠や補習授業をするときはきまって、子ども時代の体験を生かし 〔25×〇〕の早押しクイズ から授業を始めていました。
センスをきたえる - 数をまとまりとしてとらえる

佐 藤:今日は〇〇先生が休みなので、私が数学の授業をしま~す。(エーッ、の声)
算数早押しクイズ~!
第1問 難しいよ~。 25×4 はいくつでしょうか?
生徒A:100!
佐 藤:えっ?ホントに?
生徒B:だって、
25×1 は 25。
25×2 は 50。
25×3 は 50に25を足すから 75。
25×4 は 25×2が二つだから、
50と50で、合わせて100になるから。
佐 藤:なるほど、なかなかやるねー。(と言いながら、板書①のようにまとめます。)

佐 藤:さて、ここからが本番!
第2問 25×8 はいくつでしょうか?
生徒C:えっ、そんなの簡単だよ。 200!
(生徒Cの列全員を指名し、答えが200であることを確認してから)
佐 藤:ほんとかなー?
生徒D:だって、25×4 が100だから、
25×8 はその2倍で、 200。
佐 藤:
第3問 25×32 は?
生徒E:(しばらく考えて…)あっ、 800!
生徒F:えっ、早っや! なんで?
生徒E:だって 32=4×8 だから、100の8倍!
生徒F:お~っ。そういうことか!
こんな感じで問題を出しつづけて、板書②を完成します。

佐 藤:みんなスゴイなぁ。ひょっとしてみんな天才?
でも、本当の勝負はここからだよ。
第4問 25×17 は?
筆算もいいけど、黒板(板書①、②)もよく見てねー。
生徒G:425!
佐 藤:え~っ、ほんとう。適当に言ってるんじゃないの?
生徒H:やっぱり、425!
佐 藤:どうして?
生徒I:25×17 は 25×16 より1多いから 400+25 で 425!

佐 藤:それでは、超難問。
第5問 25×35 は?
生徒J:875!
(他にも3、4人の生徒を指名し、答えを発表させる。)
佐 藤:みんな 875 という答え?(多くの生徒がうなずく)
それじゃあ、どのように考えて答えを出したのか、となり同士で話し合って。
このように進めていくと、25×4× □ の答えを求めるには、□ の数が4の倍数より1多ければ25を足し、1少なければ25ひく、という考え方に、大半の生徒が気づきます。
その後に出す問題では、算数や数学に苦手意識をもっている生徒も、積極的に挙手をして、自信満々で正解を発表するようになります。
「結構やればできるじゃん!」
「数学って、やり方次第ですごい簡単!」
生徒にそう思わせた時点で、補欠の任務は完了です。
板書①、②に注目させながら授業をふりかえり、「数をまとまりとしてとらえるよさ」を再確認し、以下のような小テストをして終わります。
(1) 25× 3 =( ) (2) 25× 4 =( ) (3) 25×24 =( )
(4) 25×25 =( ) (5) 25×37 =( )
小テストはすぐに採点して、その日のうちに担任の先生から返却してもらいます。← これが大事!
算数のプロの細水保宏先生も同じような授業をしていたことを、細水先生の著書(『算数のプロが教える授業づくりのコツ』p.160)で知り、ビックリ。そして、少しニンマリ。
小学校高学年にはピッタリの題材です。
ぜひ、自分でもやってみて、持ちネタにしてください。
小テストの答え
(1) 75 (2) 100 (3) 600 (4) 625 (5) 925